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2026.2.19

何を届けるかをAIでデザインする——アプローチ設計 No.2「メッセージ設計」

何を届けるかをAIでデザインする——アプローチ設計 No.2「メッセージ設計」

はじめに:ターゲットが決まった。次は「何を伝えるか」

前回の記事では、「自社が欲しい人材」×「自社に入りたい人材」の2軸フレームワークでターゲットを4象限に分類しました。

入りたい:高い 入りたい:低い
欲しい:高い A 最優先 B 口説く
欲しい:低い C 見送り D 対象外

「誰にアプローチするか」は決まった。しかし、ターゲットが正しくても、メッセージが間違っていれば返信は来ません。

アプローチ設計の4要素のうち、今回は第2回:

  1. ターゲット設計:誰に届けるか ✓
  2. メッセージ設計:何を届けるか ← 今回
  3. チャネル設計:どこで届けるか
  4. タイミング設計:いつ届けるか

スカウトの返信率を改善しようとして、多くの企業が最初にやるのは「文面の改善」です。件名を変える。冒頭の一文を工夫する。しかし、それは枝葉の話です。

メッセージ設計の本質は、「自社の何を、候補者のどの文脈に接続するか」を構造的に設計することです。そして、この設計をAIで自動化するには、2つの準備が必要です。

  1. 自社の強みの棚卸し——届けるべき素材を揃える
  2. 候補者ペルソナとの接続設計——素材をどう届けるかを決める

この記事では、この2つのステップを中心に、AIによるメッセージ設計の全体像を解説します。

なぜ「いいスカウト文」を書いても返信が来ないのか

「パーソナライズ風」の限界

AIスカウトツールの普及で、候補者の名前や経歴に言及したスカウトメッセージが増えました。一見パーソナライズされているように見えます。

「山田様のGoでのマイクロサービス開発のご経験を拝見しました。弊社でもGoを主力技術として採用しており、ぜひお話しさせていただきたく……」

このメッセージの問題は何か。候補者の経歴に触れているだけで、「なぜ自社なのか」が語れていないことです。

候補者の立場で考えてみてください。Goを使っている会社は無数にあります。「Goを使っています」だけでは、自社を選ぶ理由にならない。候補者が知りたいのは、**「この会社に行くと、自分のキャリアにとって何が変わるのか」**です。

パーソナライズの3つのレベル

スカウトメッセージのパーソナライズには、実は3つのレベルがあります。

レベル やっていること 効果
Lv.1 名前・経歴への言及 「山田様のGo経験を拝見しました」
Lv.2 候補者スキル × 自社ポジションの接続 「Go×マイクロサービス経験が、弊社の決済基盤リアーキテクチャで活きます」
Lv.3 候補者のキャリア文脈 × 自社の独自価値 「スタートアップでの0→1経験をお持ちの山田様なら、弊社の新規事業フェーズで技術選定からリードいただけます。裁量の大きさは前職以上です」

多くのAIスカウトツールが実現しているのはLv.1、よくてLv.2です。Lv.3に到達するには、「自社の独自価値」が言語化・構造化されている必要があります。

そして、Lv.3こそが候補者の心を動かすメッセージ——特にB象限(欲しいが自社に興味がない候補者)を振り向かせるために不可欠なレベルです。

ステップ1:自社の強みの棚卸し

Lv.3のパーソナライズを実現するために、まず必要なのは**「自社の強みの棚卸し」**です。AIにメッセージを作らせる前に、そもそも「届けるべき素材」が揃っていなければ、AIは一般的な文面しか生成できません。

なぜ棚卸しが必要なのか

ほとんどの企業は、自社の強みを**「なんとなく」しか把握していません。**

  • 「うちは技術力が高い」→ 具体的にどの領域で?競合と比べてどう違う?
  • 「風通しがいい」→ それは何によって実現されている?候補者にとっての具体的なメリットは?
  • 「成長フェーズ」→ どんなポジションが生まれている?候補者のキャリアにどう影響する?

抽象的な強みのままでは、AIは「どの会社にも当てはまるスカウト文」しか作れません。強みを具体的に、候補者の文脈で語れる粒度まで分解することが、メッセージ設計の出発点です。

強みの4カテゴリ

自社の強みを棚卸しする際、4つのカテゴリに整理すると漏れが出にくくなります。

カテゴリ 問い
事業・プロダクト 何を作っているか。市場でのポジションは 「金融×SaaSで国内トップシェア」「シリーズBで30億円調達」
技術・環境 どう作っているか。技術的なチャレンジは 「Goでのマイクロサービス」「100万RPSを捌くインフラ」
チーム・カルチャー 誰と働くか。どんな働き方か 「元Google出身CTOの直下」「フルリモート・フレックス」
キャリア・成長 この会社で何が得られるか 「技術選定から携われる」「半年でチームリーダー」

「他社にない強み」を見つける

棚卸しのポイントは、「他社にも言えること」と「自社にしか言えないこと」を区別することです。

  • 他社にも言える:「リモートワーク可」「モダンな技術スタック」「成長環境」
  • 自社にしか言えない:「金融ドメインの決済基盤をGoでフルスクラッチ開発」「元メルカリ出身のSREチームが構築したインフラ」「創業3年で黒字化、IPO準備中」

他社にも言える強みは、メッセージの「固定部分」に入れる。自社にしか言えない強みは、候補者ごとの「可変部分」で使う。 この使い分けが、後述するメッセージ構造設計につながります。

強みの棚卸しはAIだけではできない

重要な注意点として、強みの棚卸しはAIに丸投げできるフェーズではありません。

AIは「棚卸しの整理」や「言語化の支援」には使えますが、強みの本質を知っているのは自社の人間です。特に以下の情報は、社内でしか得られません。

  • 入社した社員が「入社の決め手」として挙げたもの
  • 退職面談で「ここが良かった」と言われたこと
  • 競合他社との採用競争で勝った/負けた理由
  • 現場のエンジニアが「うちの技術の面白さ」として語ること

これらを収集し、4カテゴリに整理して「強みデータベース」を作る。これがメッセージ設計の土台になります。

ステップ2:候補者ペルソナとの接続設計

強みの棚卸しができたら、次は**「どの強みを、どの候補者に、どう届けるか」の設計**です。ここでNo.1のターゲット設計が活きてきます。

No.1の2軸フレームワークとの接続

前回定義した4象限は、メッセージ設計においても核心的な意味を持ちます。象限によって、伝えるべきメッセージの性質が根本的に異なるからです。

象限 候補者の状態 メッセージの目的
A 欲しい × 入りたい 意思決定を後押しする。スピードと具体性で「今動く理由」を伝える
B 欲しい × 入りたくない 認知を変える。候補者が知らない自社の魅力を、相手の文脈で語る
C 欲しくない × 入りたい 関係を維持する。将来の接点を作るコミュニケーション
D 欲しくない × 入りたくない アプローチ対象外

A象限とB象限では、メッセージの根本的な目的が違います。A象限は「すでに興味がある人の背中を押す」。B象限は「興味がない人の認知を変える」。同じスカウト文面で両方をカバーすることは不可能です。

候補者のキャリア文脈を読む

パーソナライズLv.3を実現するには、候補者の「キャリア文脈」を理解する必要があります。キャリア文脈とは、**「この候補者が次のキャリアで何を求めているか」**です。

No.1で定義したDesire軸の評価項目(大項目×重み付け、小項目×配点)は、候補者の「スキル・経験」を構造化するものでした。メッセージ設計では、これに加えて候補者の「動機」を推定します。

キャリア動機 シグナル メッセージで接続すべき強み
技術チャレンジ 技術ブログ執筆、OSS活動、スタック移行経験 技術・環境カテゴリの強み
裁量・成長 スタートアップ経験、短期間での昇進、複数ロール キャリア・成長カテゴリの強み
安定・ワークライフバランス 長期在籍、大企業経験 チーム・カルチャーカテゴリの強み
社会的インパクト NPO経験、教育・医療ドメイン 事業・プロダクトカテゴリの強み
報酬・待遇 外資経験、年収帯が高い転職パターン (直接的に伝えるより、面談で提示する方が効果的)

AIは候補者のプロフィール・経歴からキャリア動機を推定し、「この候補者には、自社のどの強みが最も刺さるか」を自動マッチングします。

接続マトリクス:強み × ペルソナ

強みの棚卸しと候補者のキャリア動機を掛け合わせると、「誰に、何を伝えるか」の接続マトリクスができます。

例えば:

候補者タイプ 刺さる強み メッセージの軸
Go経験3年、スタートアップ志向 技術チャレンジ + 裁量 「Goでの決済基盤リアーキテクチャを、技術選定からリードできる」
大企業出身、マネジメント経験あり チーム + キャリア成長 「5名→20名に拡大するチームのマネージャーとして組織設計から携われる」
SRE経験者、技術ブログ執筆 技術的チャレンジ 「100万RPSを支えるインフラの設計・運用に、大きな裁量で挑戦できる」
営業経験者、スタートアップ転職歴 事業成長 + 裁量 「シリーズBのトラクションフェーズで、セールス戦略を一から構築できる」

このマトリクスは、すべてのスカウトメッセージの設計図になります。候補者が変わればメッセージが変わる。しかし、伝える強みは自社の棚卸しから選ばれるので、ブレない。

メッセージの構造設計:固定ブロック × AI可変ブロック

なぜ「構造」が必要なのか

AIにスカウト文を全文生成させると、2つの問題が起きます。

問題1:自社らしさが消える

AIが生成する文章は無難で均質的になりがちです。どの会社のスカウトも似たようなトーン、似たような構成になる。候補者から見ると「またAIスカウトか」と一瞬で分かってしまう。

問題2:伝えるべきことが抜ける

AIに任せきりにすると、自社が必ず伝えたい情報(給与レンジ、勤務形態、チームの特徴など)が欠落することがあります。逆に、候補者にとって不要な情報が冗長に入ることも。

これらの問題を解決するのが、メッセージの構造化——「固定ブロック」と「AI可変ブロック」の設計です。

固定ブロック:「自社らしさ」を担保する

固定ブロックは、候補者が誰であっても共通して伝える部分です。

固定ブロックに入れるもの:

  • 自己紹介(誰が送っているか)
  • 会社概要(何をしている会社か)
  • ポジションの基本情報(勤務形態・報酬レンジなど)
  • クロージング(次のアクションへの導線)

固定ブロックのポイントは、「自社のトーン」を確立することです。カジュアルな語り口なのか、ビジネスライクなのか。会社の「声」がここで決まります。

AI可変ブロック:「この人だから」を伝える

AI可変ブロックは、候補者ごとに内容が変わる部分です。ここがパーソナライズの核心です。

AI可変ブロックに入れるもの:

  • なぜあなたに声をかけたのか(候補者の経歴・スキルへの言及)
  • この会社で何ができるか(候補者のキャリア動機 × 自社の強みの接続)
  • なぜ今なのか(ポジションの背景・タイミングの文脈)

AI可変ブロックの生成に使われるのが、先ほど設計した**「接続マトリクス(強み × ペルソナ)」**です。AIは候補者のプロフィールを読み取り、棚卸しされた自社の強みデータベースから最適な素材を選び、候補者のキャリア文脈に接続するメッセージを生成します。

ブロック構造の設計例

スカウトメッセージの構造

┌──────────────────────────────────┐
│ [固定] 件名                       │
├──────────────────────────────────┤
│ [固定] 自己紹介                   │
│   はじめまして、〇〇社の△△です。  │
├──────────────────────────────────┤
│ [AI可変] なぜあなたに声をかけたか  │
│   候補者の経歴 × 自社の強みの接続  │
├──────────────────────────────────┤
│ [AI可変] この会社で何ができるか    │
│   キャリア動機 × ポジションの魅力  │
├──────────────────────────────────┤
│ [固定] 会社概要・基本情報          │
│   事業内容、勤務形態、報酬レンジ    │
├──────────────────────────────────┤
│ [固定] クロージング                │
│   カジュアル面談への導線            │
└──────────────────────────────────┘

この構造により、AIが生成するのは全体の一部だけになります。自社らしさは固定ブロックで担保し、パーソナライズはAI可変ブロックに集中する。結果として、「自社のオリジナリティ」と「一人ひとりへの最適化」を両立できます。

AI可変ブロックの「作り方」もカスタマイズする

さらに重要なのは、AI可変ブロックをどう生成するかのルール自体もカスタマイズできることです。

例えば:

  • 「技術チャレンジ型の候補者には、具体的な技術課題を必ず含める」
  • 「マネジメント志向の候補者には、チーム規模と裁量範囲を強調する」
  • 「候補者のOSS活動に言及する場合は、リポジトリ名まで具体的に触れる」
  • 「スカウト文全体を300字以内に収める」

このルール設計により、AIによるワンパターン化を防げます。同じ「AI可変」でも、候補者のキャリア動機によって生成のアプローチが変わる。パーソナライズの「深さ」がここで決まります。

象限別のメッセージ戦略

A象限:スピード × 具体性で「今動く理由」を作る

A象限の候補者は、自社を欲しく、かつ自社に興味がある。メッセージの目的は「背中を押すこと」です。

A象限メッセージの原則:

  • 具体的であること:「面白いプロジェクトがあります」ではなく「Q3にローンチ予定の決済マイクロサービスのリアーキテクチャを、テックリードとしてお任せしたい」
  • スピードを感じさせること:「ぜひお話ししましょう」ではなく「今週木曜か金曜の18時以降、30分のカジュアル面談はいかがでしょうか」
  • 決裁者が直接語ること:採用担当ではなく、CTOやVPoEなど候補者が「この人と一緒に働くのか」とイメージできる人物からの発信

A象限では、メッセージの「質」以上に**「速さ」**が重要です。AIの役割は、候補者がA象限に現れた瞬間にメッセージのドラフトを即座に生成すること。人間は内容を確認・微調整して、すぐに送信する。

B象限:認知を変える「翻訳」メッセージ

B象限は、メッセージ設計が最も重要な象限です。候補者は自社に興味がない。その前提でメッセージを設計する必要があります。

B象限のメッセージで最もやってはいけないのは、自社の強みをそのまま羅列することです。

NG例:「弊社はGoでマイクロサービスを開発しており、フルリモート勤務可能で、成長フェーズにあります」

候補者は自社に興味がないのだから、自社の話を聞きたいとは思っていません。必要なのは、候補者の文脈に自社の強みを「翻訳」することです。

OK例:「山田様が現職で取り組まれているk8sのオペレーター開発は、弊社の決済基盤でも最重要テーマです。現職では1つのサービスに対する運用ですが、弊社では15以上のマイクロサービスにわたるオーケストレーション設計をお任せしたい。技術的な挑戦の幅が大きく広がります」

このメッセージは、候補者の「今やっていること」を起点に、「自社に来るとそれがどう広がるか」を具体的に語っています。候補者が自社を知らなくても、自分のキャリアにとっての価値は理解できる。

B象限メッセージの設計原則:

  1. 候補者の現在地から始める(自社の話からは始めない)
  2. 候補者の未来像を描く(自社に来ると何が変わるか)
  3. 具体的な比較を入れる(現職との違いが分かるように)
  4. 自社の「唯一性」を一点に絞る(他社にも言えることは書かない)

AIの役割は、候補者のプロフィールからキャリア文脈を読み取り、自社の強みデータベースから最も刺さる一点を選び出し、候補者の言葉で語れるメッセージを生成すること。

B象限の応用:マルチタッチ戦略

B象限の候補者は、1通のスカウトで動くとは限りません。複数のタッチポイントでの関係構築を前提にしたメッセージ設計が重要です。

タッチ 目的 メッセージの内容
1回目 認知 候補者の経歴への敬意 + 自社の独自価値を1点だけ
2回目 興味喚起 自社の技術ブログ記事やイベント登壇の共有
3回目 行動促進 具体的な面談提案(「30分、オンラインで」)

各タッチポイントで伝える内容が変わるため、メッセージの「シーケンス設計」もAIが管理します。1回目で何を伝えたか、候補者の反応はどうだったかを踏まえて、2回目のメッセージを生成する。

C象限:「今ではない」を前提にしたコミュニケーション

C象限の候補者には、スカウトメッセージというよりもナーチャリングコンテンツが適しています。

  • 自社の技術ブログの新着記事を案内する
  • 社内勉強会やミートアップへの招待
  • 「ポジションが開いたらお声がけします」という将来の約束

メッセージ設計というよりはコンテンツ設計の領域ですが、AI可変ブロックの考え方は同じ。候補者の関心領域に合ったコンテンツを選んで届ける、というパーソナライズが可能です。

「パーソナライズ風」と本物のパーソナライズの違い

改めて、2つの違いを整理します。

パーソナライズ風 本物のパーソナライズ
起点 候補者のスキル・経歴 候補者のキャリア文脈(動機・志向)
伝える内容 「あなたの経歴を見ました」 「あなたのキャリアにとって、自社はこう価値がある」
自社の強みの扱い 汎用的に羅列 候補者の文脈に合った1点を深く
AIの使い方 名前と経歴を差し込む 強みDB × ペルソナ推定 → 接続メッセージ生成
結果 「またAIスカウトか」 「この会社、ちゃんと自分のことを見ている」

本物のパーソナライズが成立する条件は3つ:

  1. 自社の強みが構造化されている(棚卸しが済んでいる)
  2. 候補者のキャリア文脈をAIが推定できる(No.1のDesire軸 + Attraction軸)
  3. メッセージの構造が設計されている(固定 × AI可変のブロック設計)

この3つが揃って初めて、AIは「候補者の心を動かすメッセージ」を生成できます。どれか1つでも欠けていれば、Lv.1の「パーソナライズ風」にしかなりません。

実践:メッセージ設計を始める5ステップ

Step 1:自社の強みを4カテゴリで棚卸しする

事業・プロダクト、技術・環境、チーム・カルチャー、キャリア・成長の4カテゴリで、自社の強みを具体的に書き出す。

  • 各カテゴリ最低3つ以上
  • 「他社にも言えるか?」のフィルターを通す
  • 入社者の入社理由・退職者のポジティブフィードバックを参考にする
  • 現場のエンジニア・マネージャーにもヒアリングする

Step 2:強みを「候補者の言葉」に翻訳する

棚卸しした強みを、候補者のキャリア動機ごとに「刺さる表現」に翻訳する。

  • 技術チャレンジ志向の候補者向け:「100万RPSを捌く決済基盤の設計をリードできる」
  • 裁量志向の候補者向け:「技術選定からアーキテクチャ設計まで、エンジニア主導で進められる」
  • 安定志向の候補者向け:「創業3年で黒字化。堅実な経営基盤の上で、中長期的に技術を磨ける」

同じ強みでも、候補者の動機によって伝え方が変わる。この翻訳テーブルが接続マトリクスになります。

Step 3:メッセージのブロック構造を設計する

固定ブロックとAI可変ブロックを定義する。

  • 固定ブロック:自己紹介、会社概要、基本条件、クロージング
  • AI可変ブロック:「なぜあなたに」「この会社で何ができるか」
  • 全体の文字数上限を設定する(300〜500字が目安)
  • トーン&マナーを定義する(カジュアル/ビジネスライク)

Step 4:象限別のメッセージテンプレートを作る

4象限それぞれのメッセージ方針を定義する。

  • A象限:具体性 + スピード。決裁者からの直接メッセージ
  • B象限:候補者起点の翻訳メッセージ。マルチタッチも設計
  • C象限:ナーチャリングコンテンツの配信設計
  • D象限:対象外

Step 5:送信→フィードバック→改善サイクルを回す

運用を開始し、データで精度を改善する。

  • 2週間ごとに返信率を象限別・動機タイプ別に分析
  • 「返信が来たメッセージ」と「来なかったメッセージ」の差分を特定
  • 強みDBの更新、接続マトリクスの見直し
  • AI可変ブロックの生成ルールの調整

よくある失敗パターン

失敗1:強みの棚卸しをせずにAIに書かせる

AIへの入力が「求人票の情報だけ」だと、どの会社でも言えるスカウト文しか出てこない。自社の独自価値が入力されていなければ、AIはそれを出力できない。

→ 対策:メッセージ設計の前に、必ず自社の強みの棚卸しを行う。

失敗2:全象限に同じメッセージを送る

A象限の候補者にもB象限の候補者にも同じテンプレートを使う。A象限は反応するかもしれないが、B象限はスルーされる。

→ 対策:象限別のメッセージテンプレートを必ず分ける。

失敗3:「パーソナライズ = 名前を入れる」と思っている

候補者の名前と経歴に言及するだけで「パーソナライズしている」と満足してしまう。Lv.1のパーソナライズに留まっている。

→ 対策:パーソナライズの3レベルを意識し、Lv.3を目指す。

失敗4:AIの出力を確認せずに送信する

AIに全文生成させてそのまま一括送信。不自然な表現、事実と異なる内容、候補者への配慮不足が混入するリスクがある。

→ 対策:AI生成後の「確認・編集」ステップを必ず入れる。このプロセスがフィードバック学習の入力にもなる。

まとめ:メッセージ設計は「自社の強み × 候補者の文脈」の構造化

メッセージ設計の本質は、文面のクオリティではなく、「何を届けるか」の構造設計です。

要素 内容 AIの役割
自社の強みの棚卸し 4カテゴリで具体的に整理、「自社にしか言えない」を特定 言語化支援・整理
候補者ペルソナとの接続 キャリア動機を推定し、刺さる強みを自動マッチング 動機推定・接続マトリクス生成
メッセージ構造 固定ブロック × AI可変ブロックで自社らしさとパーソナライズを両立 可変ブロックの自動生成
象限別戦略 A:背中を押す B:認知を変える C:関係を維持 象限判定・テンプレート切替
フィードバック学習 返信率・編集データから接続マトリクスを継続改善 パターン学習・ルール最適化

ターゲット設計(No.1)で「誰に」を定義し、メッセージ設計(No.2)で「何を」を設計する。この2つが揃うことで、初めてスカウトは「量の作業」から「質の戦略」に変わります。

まずは自社の強みを棚卸しする。そして、候補者一人ひとりの文脈に合わせて、AIで翻訳する。

アプローチ設計シリーズの次回は、**No.3「チャネル設計——どこで届けるか」**を解説します。ターゲットとメッセージが決まったとき、それをどのプラットフォーム・どの媒体で届けるのが最も効果的か。チャネル選定の最適化をAIでどう実現するかを掘り下げます。


TasonalのAIスカウト機能は、このメッセージ構造設計を実装しています。スカウト文をブロック構造で設計し、固定テンプレート × AI可変パーツで自社のオリジナリティを担保しながら候補者ごとに最適化。さらにAI可変パーツの「作り方」自体もカスタマイズ可能なので、AIスカウトにありがちなワンパターンさを回避できます。

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