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人的資本経営とは

2024.9.9
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人的資本経営
人的資本経営とは

はじめに

人的資本経営の定義

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげる経営のあり方です。
従来の人材戦略が人材を「資源」や「コスト」と見なしていたのに対し、人的資本経営では人材への投資を重視し、積極的な人材育成や環境整備を行います。

なぜ今、人的資本経営が注目されているのか

人的資本経営が注目される背景には、経済産業省が2020年に発表した「人材版伊藤レポート」があります。知識経済社会への移行や少子高齢化による労働力不足、ESG投資の拡大など、企業を取り巻く環境が大きく変化する中で、人材の価値を最大化することが企業の競争力維持に不可欠だと認識されるようになりました。

人的資本経営が求められる背景

人的資本経営が求められる背景は、急速に変化する現代社会の要請を反映しています。

産業構造の変化

デジタル化や脱炭素化により、イノベーションの重要性が増し、人材の質が企業の競争力を左右する要素となっています。

非財務情報への注目

ESG投資の拡大に伴い、企業の持続可能性に関する情報開示が求められるようになりました。人的資本は重要な非財務情報の一つです。

働き方の多様化

個人のキャリア観の変化や人生100年時代の到来により、柔軟な人材戦略が必要になっています。

少子高齢化

労働人口減少に伴い、多様な人材の活用と個々の能力を最大限に引き出す経営が重要になっています。

グローバル化

国際的な競争力を維持・向上させるため、人材への戦略的な投資が不可欠になっています。

人的資本経営の主要な4つの要素

1.従業員スキル開発と教育投資

企業の競争力の源泉は、従業員の知識とスキルにあります。そのため、継続的な学習機会の提供や個々の従業員のキャリア開発支援など、人材育成への積極的な投資が不可欠です。

具体的な取り組み例

  • 社内大学の設立:企業独自のカリキュラムを持つ教育機関を設立し、従業員のスキルアップを体系的にサポートします。
  • オンライン学習プラットフォームの導入:時間や場所の制約なく学習できる環境を整備します。
  • キャリアコーチングプログラム:個々の従業員のキャリア目標に応じた支援を提供します。
  • ジョブローテーション:多様な業務経験を通じて、幅広いスキルを習得する機会を創出します。
  • 外部研修・セミナーへの参加支援:最新の知識やスキルを習得するための外部機械への参加を奨励します。

これらの取り組みにより、従業員の市場価値得を高めるとともに、企業の競争力強化につなげることができます。

2.健康経営と従業員のウェルビーイング

従業員の心身の健康は、生産性や創造性に直結します。健康経営とウェルビーイングの推進は、持続的な企業価値創造の基盤となります。

具体的な取り組み例

  • メンタルヘルスケアの充実:カウンセリングサービスの提供や、ストレスチェックの定期実施を行います。
  • フィットネスプログラムの導入:社内ジムの設置や、運動促進イベントを開催します。
  • 栄養サポート:健康的な社員食堂のメニューの提供や、栄養セミナーを実施します。
  • 睡眠改善プログラム:良質な睡眠の重要性に関する啓発と、睡眠環境改善のサポートを行います。
  • ワークライフバランスの推進:有休休暇取得の促進や、長時間労働の規制を行います。

これらの施策により、従業員の健康リスクを低減し、生産性と創造性の向上を図ることができます。

3.ダイバーシティ&インクルージョン

多様な背景を持つ人材が活躍できる環境を整備することで、新たな価値創造とイノベーションの促進につながります。

具体的な取り組み例

  • ダイバーシティ推進部門の設置:組織全体でダイバーシティを推進する専門部署を設置します。
  • アンコンシャスバイアス研修:無意識の偏見に気づき、克服するための研修を実施します。
  • 多様な採用戦略:性別、年齢、国籍、障がいの有無などに関わらず、多様な人財を積極的に採用します。
  • キャリア支援プログラム:女性や外国人従業員などのキャリア開発を支援します。
  • ERG(従業員リソースグループ)の支援:様々なバックグラウンドを持つ従業員のネットワーク形成を促進します。

これらの取り組みにより、多様な視点や経験を組織に取り入れ、イノベーション創造力を高めることができます。

4.働き方改革とワークライフバランス

柔軟な働き方の導入や長時間労働の是正など、従業員の生産性と満足度を高める取り組みが重要です。

具体的な取り組み例

フレックスタイム制度:従業員が自身のライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できる制度を導入します。
テレワークの推進:在宅勤務やサテライトオフィスの活用により柔軟な働き方を実現させます。
ノー残業デーの設定:定期的な早帰り日を設定し、長時間労働を抑制します。
有給休暇取得の促進:計画的な休暇取得を奨励し、リフレッシュの機会を確保します。
育児・介護制度の充実:仕事と家庭の両立をサポートする制度を整備します。

これらの施策により、従業員の生活の質を向上させるとともに、仕事への集中力と生産性を高めることができます。

海外と日本の開示規定

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海外の動向

  • EU:2014年より「非財務及び多様性情報の開示に関する改正指令(NFRD)」が運用されています。
  • 米国:SECが人的資本に関する情報開示を義務付けています。

日本の動向

  • 2023年3月期決算以降、上場企業に対して有価証券報告書での人的資本情報の開示が義務付けられました。
  • 内閣官房の「人的資本可視化指針」では、7分野19項目に関する開示が推奨されています。
  • 「人材版伊藤レポート」の発表により「人的資本経営」の意義や変革の方向性、人材戦略などが示されました。

開示のポイント

  1. 経営戦略との連動:人的資本への投資が企業価値向上にどうつながるかを説明する。
  2. データの活用:客観的な指標に基づく意思決定と情報開示を行う。
  3. 独自性と比較可能性のバランス:自社の特徴を示しつつ、他社との比較も可能な情報を提供する。
  4. 継続的な改善:定期的に情報を更新し、取り組みの進捗を示す。

人的資本経営は、企業の持続的成長と社会的価値の創出を両立させる重要な経営アプローチとして、今後さらに注目されていくでしょう。

ツールの活用

人的資本経営は人材データの収集・更新、そして集まったデータを分析が必要です。それにはツールの活用が不可欠です。
Tasonalは、タスク管理機能や1on1管理機能、目標管理機能から人材データ(スキル・エンゲージメント・志向性など)を収集/可視化し、それらのデータを基にした人材管理や業務の改善を支援します。
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人材データの収集や更新は現場の協力が不可欠です。人的資本経営の導入が形骸化しないためにも、現場負荷を下げるこのようなツールを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげる経営のあり方です。
人的資本経営は、組織の成功にとって不可欠な要素となりつつあります。

また、データの収集や更新には、Tasonalのようなツールを導入しましょう。業務管理ツールからデータを収集することで、少ない現場負荷で人的資本経営の導入を可能にします。

ぜひお気軽にお問合せください。
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