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2026.4.11採用

採用基準の決め方|「いい人が来たら採る」から脱却する5ステップ設計法

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採用基準の決め方|「いい人が来たら採る」から脱却する5ステップ設計法

はじめに —— 「いい人が来たら採る」が失敗する構造

「採用基準はありますか?」と聞くと、多くの企業が「あります」と答えます。しかしその中身を見ると、

  • 「経験3年以上」
  • 「コミュニケーション能力が高い」
  • 「当社のカルチャーに合う」

といった抽象的な要件が並んでいることがほとんどです。

これは「採用基準がある」のではなく、「採用基準のようなもの」がある状態です。担当者によって「コミュニケーション能力が高い」の意味が違い、「カルチャーに合う」の判断が個人の好みになる。結果、同じ候補者に対して面接官Aは「通過」、Bは「不通過」と判断する。

もっと根本的な問題は、「いい人が来たら採る」というスタンスです。基準を先に決めず、候補者を見てから判断する。これでは採用の質は永遠に安定しません。

この記事では、抽象的な「求める人物像」を、書類選考・面接で実際に使える採用基準に変換する5ステップを解説します。

採用基準が曖昧だと何が起きるか

問題 発生メカニズム 影響
評価がブレる 担当者ごとに「良い人」の定義が違う 同じ候補者に真逆の評価
優秀人材を見逃す MustとWantが区別されず、「全部満たす人」を探す 候補者プールが枯渇
面接が非効率 「何を見るか」が決まっておらず、全方位で聞く 時間がかかるのに深く見極められない
現場と乖離 採用担当と現場で基準が違う 「なぜこの人を通したの?」が発生
PDCAが回らない 基準が曖昧なので振り返れない 次の採用も同じ失敗を繰り返す

これらはすべて、**基準が「存在しない」のではなく「構造化されていない」**ことが原因です。

採用基準を構造化する5ステップ

Step 1: 「なぜこの採用が必要か」を言語化する
    ↓
Step 2: 「入社後6ヶ月の成果」を具体化する
    ↓
Step 3: Must / Want / NGに分類する
    ↓
Step 4: 抽象要件を観察可能な行動に分解する
    ↓
Step 5: 書類と面接の役割分担を決める

Step 1: 「なぜこの採用が必要か」を言語化する

最初のステップは、採用の背景を明確にすることです。これが曖昧だと、後のすべてがブレます。

言語化すべき3つの問い:

問い 悪い回答例 良い回答例
なぜ今この人が必要か? 「人が足りないから」 「新規事業の立ち上げに当たり、プロダクトのアーキテクチャ設計をリードできる人材が必要」
この人がいないと何が困るか? 「忙しい」 「プロダクトのリリーススケジュールが3ヶ月遅れ、競合に先を越される」
育成では補えないか? 「無理」 「既存メンバーにアーキテクチャ経験がなく、1年以上の育成期間が必要。事業スピードを考えると即戦力採用が必要」

この段階で現場のマネージャーと合意しておくことが重要です。採用担当者だけで決めると、現場から「こんな人を探してくれとは頼んでいない」と言われるリスクがあります。

Step 2: 「入社後6ヶ月の成果」を具体化する

採用基準を決める最も効果的な方法は、「入社後6ヶ月で何をしていてほしいか」を先に決めることです。

これが具体的であれば、「そのために何が必要か」は自然に導出されます。

悪い例 良い例
「プロダクト開発に携わってほしい」 「新規プロダクトのAPIアーキテクチャを設計し、チームのレビューを経て実装・リリースまで立ててほしい」
「営業を強化したい」 「月間8件の新規商談をこなし、2件以上の受注を獲得してほしい」
「チームをリードしてほしい」 「5人の開発チームの1on1・スプリント運営・技術方針を主導し、リリースサイクルを改善してほしい」

具体的な「6ヶ月後の姿」が描ければ、「そのために何が必要か」は自明です。 APIアーキテクチャを設計できる人には、バックエンドの設計経験が必要だと分かる。しかし「プロダクト開発に携わる」だけでは、何が必要か分からない。

Step 3: Must / Want / NGに分類する

すべての要件を、3層に分類します。

定義 判断ルール
Must これがないと不採用 1つでも欠けていれば不通過
Want あれば加点 充足度に応じてスコア加算
NG これに該当したら不採用 自動的に不通過

MustとWantの境界線を引く問い

これが最も重要なステップです。境界線が曖昧だと、「全部Must」(候補者が見つからない)か「全部Want」(基準がないのと同じ)になります。

問い Mustの場合 Wantの場合
この要件がない人が入社したら、業務が回るか? 回らない 他でカバーできる
過去にこの要件なしで採用した人はいるか? いない or 失敗 成功例がある
入社後の育成で補えるか? 補えない 補える
この要件で候補者の何%がフィルタされるか? 20%以下が適正 50%以上が消えるなら厳しすぎ

具体例: バックエンドエンジニア

要件 判断基準
Must 静的型付け言語でのサーバーサイド開発3年以上 Go/TypeScript/Java/Rust等。言語は問わない
Must チームでの開発経験 コードレビュー・Git運用の実務経験
Must 日本語での業務コミュニケーション 読み書き・口頭ともに業務レベル
Want クラウドインフラ(AWS/GCP)の構築・運用経験 重み: 20%
Want マイクロサービス設計・運用経験 重み: 15%
Want テックリード or チームリード経験 重み: 15%
NG 競業避止契約が有効 即不通過
NG リモート専用希望(自社はハイブリッド) 勤務条件不一致

注目すべきは、Mustの「静的型付け言語」という設計です。「Go経験3年」ではなく「静的型付け言語」と抽象度を上げることで、TypeScriptやJava出身の優秀なエンジニアも候補者プールに含められます。スキル(Go経験)はWant、コンピテンシー(課題解決力)はMust。この切り分けが重要です。

Step 4: 抽象要件を観察可能な行動に分解する

「コミュニケーション力」「リーダーシップ」といった抽象的な要件は、そのままでは評価できません。「書類や面接で確認できる具体的な行動」に分解します。

抽象要件 観察可能な行動に分解 書類での確認 面接での確認
コミュニケーション力 ① 複雑な内容を非専門家に分かりやすく説明できる ② 意見対立時に双方の立場を踏まえた解決策を提示できる 職務経歴書の論理構成、実績の説明方法 面接での応答品質、深掘りへの対応
リーダーシップ ① メンバーの強み・弱みを把握しタスクを適切に配分した経験 ② 困難な状況で意思決定しチームを導いた経験 役職・チーム規模の記載 STAR法でのエピソード確認
主体性 ① 誰にも指示されずに自ら始めた取り組み ② 業務プロセスを自発的に改善した経験 「自ら提案」「主導」等の記載 「なぜそれに気づいたのか」を深掘り
カルチャーフィット ① 不確実な環境で柔軟に対応できる ② スピード感を持って仕事を進められる スタートアップ経験、新規事業経験 価値観に関する質問で探る

ポイント: 抽象要件を「観察可能な行動」に分解するだけで、「コミュニケーション力が高い」の意味が担当者間で統一されます。

Step 5: 書類と面接の役割分担を決める

最後のステップは、各要件を「書類で確認」「面接で確認」のどちらで見るかを決めることです。

確認方法 向いている要件
書類で確認 経験年数、資格、定量的な実績など事実確認が可能なもの 「サーバーサイド開発3年以上」
面接で確認 思考プロセス、コミュニケーションスタイル、価値観など対話でしか分からないもの 「課題解決力」「カルチャーフィット」
書類で推定→面接で確定 書類から一定の推定はできるが、深さは面接で確認が必要 「チームリード経験」「設計判断力」

役割分担表の例

要件 書類 面接 引き継ぎ事項
サーバーサイド開発3年以上 ○補完 「書類で確認済み。深さのみ面接で確認」
チーム開発経験 「確認済み。面接での再確認不要」
技術的課題解決力 △推定 「書類では推定レベル4。面接で深掘りして確定してください」
協働推進力 ×不可 「書類からは判断できない。面接で重点確認」
カルチャーフィット △推定 「スタートアップ経験あり。不確実性耐性を確認」

この「引き継ぎ事項」が、書類選考→面接の質を劇的に上げます。 面接官は「何を重点的に確認すべきか」が事前に分かる状態で面接に臨めるので、「ご経歴を教えてください」から始める必要がなくなります。

採用基準が変える3つの場面

場面1: 「全員Must」の罠から抜け出せる

「Go経験3年」「AWS経験必須」「マイクロサービス経験必須」——すべてをMustにすると、候補者プールは極端に絞られます。

Must/Wantを分類すれば、「サーバーサイド開発の基本力はMustだが、Go経験はWant(入社後習得可能)」と設計できる。スキルは育成できるが、行動特性(コンピテンシー)は容易に変わらない——この原則で切り分けると、「スペック外だが本質的に優秀な人材」を見逃さなくなります。

場面2: 現場との「温度差」がなくなる

採用担当者が「この人は面接で会えば可能性が見える」と思っても、現場から「経験が足りない」と却下される。逆に、現場が「この人は優秀だ」と言っても、採用担当から見ると「当社のカルチャーと合わないのでは」。

この温度差は、「何をMustとし、何をWantとするか」が採用担当と現場の間で合意されていないことが原因です。Step 3でMust/Wantを明確に分類し、現場マネージャーと合意しておけば、この問題は解消されます。

場面3: 採用基準のPDCAが回り始める

構造化された基準があれば、「この基準が正しかったか」を検証できます。

  • 「Must要件を満たして入社したが、半年で離職」→ 見落としていたコンピテンシーがあるのでは?
  • 「Wantだった要件を持つ人の方が、活躍している」→ そのWantは実はMustでは?
  • 「NGとしていた要件に該当する人が、実は活躍している」→ NG要件を見直すべきでは?

このフィードバックループがあるからこそ、基準が「固定のチェックリスト」ではなく「育つフレームワーク」になるのです。

導入の進め方 —— 1ポジションから始める

Week 1: 基準の設計(2時間)

やること 所要時間 アウトプット
対象ポジションを1つ選ぶ 5分 ポジション名
Step 1-2を現場マネージャーと実施 45分 背景・6ヶ月後の成果
Step 3でMust/Want/NGを分類 30分 要件分類表
Step 4で抽象要件を分解 30分 観察可能行動リスト
Step 5で役割分担を決める 10分 役割分担表

Week 2-3: 実務で試す

  • 次の応募者から、構造化した基準で書類選考を実施
  • 「面接で確認すべきこと」を面接官に引き継ぐ
  • 面接官から「基準が実務で使えたか」のフィードバックを集める

Week 4: 振り返りと改善

  • Must/Wantの線引きが適切だったか検証
  • 「この観察行動では判断しづらかった」要件を改善
  • 他ポジションへの展開を検討

採用基準設計チェックリスト

背景・要件

  • 「なぜこの採用が必要か」が事業目標と接続されている
  • 入社後6ヶ月の具体的な成果が定義されている
  • 現場マネージャーと合意が取れている

構造化

  • 全要件がMust/Want/NGに分類されている
  • Mustは3個以内に絞られている
  • 抽象的な要件が観察可能な行動に分解されている
  • 各要件に「判断基準」が明記されている

役割分担

  • 「書類で確認」「面接で確認」の分担が決まっている
  • 書類選考の引き継ぎに「面接で確認すべきこと」が含まれている
  • 面接官が「何を重点的に確認するか」を事前に把握できる

運用

  • 四半期ごとにMust/Wantの見直しが予定されている
  • 入社後のパフォーマンスと採用基準の照合が計画されている

まとめ —— 「いい人が来たら採る」から「基準を先に決める」へ

採用基準は「チェックリスト」ではありません。「いい人が来たら採る」をやめ、「どんな人を採るかを先に決める」ためのフレームワークです。

ステップ やること 得られる効果
Step 1 「なぜこの採用が必要か」を言語化 採用の目的が明確になる
Step 2 入社6ヶ月後の成果を具体化 「どんな人か」が自然に導出される
Step 3 Must/Want/NGに分類 判断の優先順位が統一される
Step 4 抽象要件を観察可能な行動に分解 担当者間で基準の意味が揃う
Step 5 書類と面接の役割分担を決める 書類→面接が分断されず、情報が積み上がる

まずは1つのポジションで、この5ステップを試してみてください。 2時間あればできます。それだけで、「いい人が来たら採る」から「基準を先に決める」への転換が始まります。


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Tasonal AI書類選考は、この5ステップで設計した採用基準を、AIがそのまま選考に適用します。Must/Want/NGを構造化し、全候補者を同じ基準でスコアリング。「面接で確認すべきこと」まで自動生成し、基準→書類選考→面接の一貫性を仕組みで実現します。

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