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2026.4.11採用

採用計画の立て方|「去年と同じ」で始めて失敗する企業の3つの共通点

採用人事
採用計画の立て方|「去年と同じ」で始めて失敗する企業の3つの共通点

はじめに —— 「去年と同じ」で始める採用計画が失敗する理由

多くの企業の採用計画は、こう始まります。

「去年は何人採ったから、今年も同じくらいで」

この進め方には、3つの構造的な問題があります。

問題1: 事業環境は去年と同じではない

事業の成長フェーズが変われば、必要な人材の質も量も変わります。去年は「即戦力」が必要だったかもしれませんが、今年は「将来のリーダー候補」かもしれない。去年は営業を増やすフェーズだったが、今年はプロダクト強化のフェーズかもしれない。

去年の計画をコピーするということは、去年の事業環境を前提にした計画で今年を戦うということです。

問題2: 「何人」は決まっても「どんな人」が決まらない

「エンジニア3人」「営業5人」——人数は決まっても、具体的にどんな人材が必要かが曖昧なまま動き出す。結果として、求人票は過去のコピペ、評価基準は面接官の感覚頼みになります。

採用計画とは「何人採るか」ではなく、「どんな人を、いつまでに、どのチャネルで、どう見極めて採るか」の設計です。

問題3: 計画を立てても振り返らない

計画を立てたら満足して、あとは目の前の応募者対応に追われる。半期が終わっても「計画通りだったか」を検証しない。次の計画もまた感覚で立てる——このサイクルでは、採用の質は永遠に改善しません。

この記事では、これらの問題を構造的に解決する採用計画の立て方を解説します。

採用計画の5ステップ

Step 1: 事業計画から採用ニーズを導出する
    ↓
Step 2: ポジションごとの要件を構造化する
    ↓
Step 3: チャネル戦略を設計する
    ↓
Step 4: 選考プロセスとスケジュールを設計する
    ↓
Step 5: KPIを設定し、PDCAを回す仕組みを作る

Step 1: 事業計画から採用ニーズを導出する

採用計画は、事業計画から逆算して立てます。「何人必要か」ではなく、**「事業目標を達成するために、いつまでに、どの機能が必要か」**を起点にします。

逆算の問い

問い 導出されるもの
今期の事業目標は何か? 必要な機能・ケイパビリティの特定
目標達成に、現在のチームで何が足りないか? 採用すべきポジションの特定
足りない機能は、既存メンバーの育成で補えるか? 採用 vs 育成の判断
いつまでにその機能が必要か? 採用スケジュールの逆算
その機能がないと、事業にどの程度の影響があるか? ポジションの優先順位

ポジション優先度マトリクス

複数のポジションがある場合、以下の2軸で優先順位をつけます。

事業インパクト大 事業インパクト小
充足の緊急性高 最優先で動く 計画的に進める
充足の緊急性低 早めに候補者プール構築 次の四半期以降

よくある失敗: すべてのポジションを「最優先」にしてしまう。リソースが分散し、結局どのポジションも中途半端になる。

正しい判断: 最優先ポジションは最大3つまでに絞る。残りは優先度を下げ、リソースを集中させる。

Step 2: ポジションごとの要件を構造化する

「エンジニア3人採用」で止めず、各ポジションの要件を構造化します。

要件定義テンプレート

各ポジションについて、以下を埋めます。

ポジション名: ________
配属先: ________
採用人数: ________
入社希望時期: ________

## なぜこの採用が必要か(背景)
[事業目標との接続。「なぜ今この人が必要か」]

## 入社後6ヶ月で期待する成果
[具体的なアウトプット。「3人」ではなく「何ができる状態になるか」]

## Must要件(これがないと不採用)
| # | 要件 | 判断基準 |
|---|------|--------|
| 1 | | |
| 2 | | |

## Want要件(あれば加点)
| # | 要件 | 重み |
|---|------|:----:|
| 1 | | |
| 2 | | |

## NG要件(即不採用)
| # | 要件 | 理由 |
|---|------|------|
| 1 | | |

## コンピテンシー(行動特性)
| # | コンピテンシー | Must/Want | 確認方法 |
|---|-------------|:---------:|--------|
| 1 | | | 書類 or 面接 |
| 2 | | | |

## 想定年収レンジ
下限: ________ 上限: ________

## 採用チャネル(優先順)
1.
2.
3.

このテンプレートを埋めるだけで、「なんとなく3人」から「根拠のある採用計画」に変わります。

ポイント: 「入社後6ヶ月で期待する成果」が最も重要。ここが具体的であれば、Must/Want要件もコンピテンシーも自然に導出できます。逆にここが曖昧だと、すべてが曖昧になります。

Step 3: チャネル戦略を設計する

各ポジションに対して、どのチャネルで候補者を集めるかを設計します。

チャネル別の特性マトリクス

チャネル 候補者の質 コスト リードタイム 向いているケース
人材紹介(エージェント) ハイクラス・即戦力
スカウト(ダイレクトリクルーティング) 特定スキル・転職潜在層
求人媒体 ボリューム採用
リファラル(社員紹介) カルチャーフィット重視
自社HP / 採用サイト ブランド認知済みの層
SNS / Founder-Led スタートアップ・技術者
採用代行(RPO) 中〜高 中〜高 リソース不足時・立ち上げ期

チャネル選定の3つのルール

ルール 理由
1つのポジションに2〜3チャネルを組み合わせる 1つに依存するとリスクが高い
ポジションの特性に合わせて主力チャネルを変える エンジニアとセールスでは有効なチャネルが違う
チャネルごとのKPIを設定する 「どのチャネルが効いているか」を測れるようにする

ポジション×チャネルの設計例

ポジション 主力チャネル サブチャネル 理由
バックエンドエンジニア(Go) スカウト リファラル、自社HP 転職潜在層にアプローチ。Go人材は転職市場に少ない
法人営業 求人媒体 人材紹介 ボリュームが必要。エージェント経由も確保
VP of Engineering 人材紹介 スカウト ハイクラスは紹介が確実。スカウトで潜在層も狙う
カスタマーサクセス 求人媒体 スカウト 新しい職種なので、キャリアチェンジ層も対象

Step 4: 選考プロセスとスケジュールを設計する

選考プロセスの標準設計

各ポジションの選考フローを設計します。ポイントは、各フェーズで「何を確認するか」を事前に決めることです。

フェーズ 所要日数目安 何を確認するか 担当
書類選考 2日以内 Must要件の充足、コンピテンシーの推定 採用担当 (or AI)
一次面接 書類通過から5日以内 専門性、課題解決力、協働力 現場マネージャー
二次面接 一次から5日以内 リーダーシップ、カルチャーフィット 部長 / VP
最終面接 二次から3日以内 キャリア志向、経営との適合 経営者
オファー 最終から2日以内 条件提示・意思確認 採用担当

ここで重要なのは「所要日数目安」の設定です。目安がないと、いつの間にか書類選考に1週間、面接調整に2週間かかり、トータルで1ヶ月以上。候補者は他社に先を越されます。

スケジュールの逆算設計

入社希望時期から逆算して、各フェーズのデッドラインを決めます。

入社希望日: 10月1日
  ↑
オファー承諾: 8月中旬(退職交渉期間1.5ヶ月)
  ↑
最終面接: 8月上旬
  ↑
二次面接: 7月下旬
  ↑
一次面接: 7月中旬
  ↑
書類選考: 7月上旬
  ↑
母集団形成: 5月〜6月(スカウト・媒体掲載開始)
  ↑
要件定義・チャネル設計: 4月〜5月

多くの企業は「母集団形成」の開始が遅すぎます。10月入社が必要なら、遅くとも5月にはスカウトや媒体掲載を始める必要がある。「人が足りないと気づいてから動く」のでは遅いのです。

Step 5: KPIを設定し、PDCAを回す仕組みを作る

採用計画を「立てて終わり」にしないための仕組みです。

採用KPIの設計

KPI 計測の意味 目安
応募数 母集団の量は足りているか ポジションあたり月20件以上
書類通過率 スクリーニング基準は適切か 20〜40%が適正
面接通過率 面接の見極めは機能しているか 一次50%、二次60%、最終80%程度
内定承諾率 オファーの魅力は十分か 70%以上を目指す
選考リードタイム 候補者を逃していないか 応募→内定まで3週間以内
チャネル別CPA どのチャネルが費用対効果が高いか チャネルごとに比較
採用単価 1人あたりの採用コストは適正か 職種・レベルに応じて判断

PDCAの実行サイクル

頻度 やること 所要時間
毎週 パイプラインの確認(各ポジションの応募数・選考状況) 15分
隔週 KPIの推移確認。目標とのギャップがあれば原因分析 30分
月次 チャネル別の効果検証。効いていないチャネルの見直し 1時間
四半期 採用計画全体の振り返り。次四半期の計画修正 2時間

最も大事なのは「毎週15分」のパイプライン確認です。ここで早期に異変を検知できれば、手遅れになる前に打ち手を変えられます。

「計画倒れ」を防ぐ3つのチェックポイント

チェック1: 計画と現実のギャップが見えているか

ギャップの種類 確認方法 対策
応募が足りない 月次の応募数推移を確認 チャネル追加、求人票改善、スカウト量増加
質が合わない 書類通過率が低すぎる or 高すぎる 低すぎ→求人票の訴求見直し。高すぎ→基準が甘い可能性
面接で落ちすぎる 面接通過率が異常に低い 書類選考の基準と面接基準の乖離を確認
内定辞退が多い 内定承諾率を追跡 オファー条件の見直し、選考スピードの改善、候補者体験の改善
スケジュール遅延 各フェーズの実績日数を計測 ボトルネックの特定(日程調整?意思決定?)

チェック2: 「言い訳」が構造化されているか

採用が予定通りに進まないとき、よく出る「言い訳」があります。これらを事前に構造化しておくことで、問題発生時に冷静に対処できます。

よくある言い訳 本当の原因(可能性) 対策
「良い人が来ない」 求人票が市場に響いていない / チャネルが合っていない 求人票のレビュー、チャネルの見直し
「忙しくて面接できない」 面接官の負荷管理ができていない 面接負荷の分散、面接官の増員
「条件が合わなくて辞退された」 市場相場とのギャップ 報酬データの再調査、非金銭的価値の訴求強化
「スキル要件を満たす人がいない」 Must要件が厳しすぎる Must/Wantの再分類。本当にMustか再検討
「採用は人事の仕事でしょ」 現場の巻き込みが不十分 採用計画策定段階から現場を参加させる

チェック3: 計画を「育てる」仕組みがあるか

完璧な計画を最初から作る必要はありません。重要なのは、計画を実行しながら改善するサイクルを持つことです。

計画を立てる(仮説)
    ↓
実行する(検証)
    ↓
データを見る(KPI確認)
    ↓
計画を修正する(改善)
    ↓
次の計画に反映する(学習)

このサイクルが回っていれば、最初の計画が完璧でなくても問題ありません。四半期ごとに精度が上がっていきます。

職種別: 採用計画のカスタマイズポイント

エンジニア採用

ポイント 理由
リードタイムを長めに取る 優秀なエンジニアは転職潜在層が多い。関係構築に時間がかかる
スカウトを主力チャネルにする 求人媒体だけでは質の高い候補者に届かない
Must要件を最小限にする 「Go経験3年」をMustにすると、TypeScript出身の優秀人材を逃す
技術ブランディングを並行する テックブログ、OSS、勉強会登壇で認知を作る

営業採用

ポイント 理由
書類選考の基準を明確にする 「会ってみないと分からない」で全員面接すると面接官が圧迫される
短いリードタイムを設計する 営業は転職市場の流動性が高い。3週間以内に決着をつける
チャネルは求人媒体+エージェント ボリュームと質のバランス
入社後のオンボーディング計画も含める 早期離職を防ぐために、採用計画にオンボーディングも組み込む

マネージャー採用

ポイント 理由
コンピテンシー重視で選考する スキルより行動特性が成果を左右する
リファラルとエージェントが主力 マネージャー層は転職市場に出にくい
現場との合意形成を先にする 「どんなリーダーが必要か」を現場と経営で合意しないと、選考がブレる
内定後のフォローを手厚く マネージャー層は他社からのオファーも多い

採用計画テンプレート: すぐ使えるフォーマット

全体計画サマリ

## 採用計画 FY2026 — [部署名]

### 事業背景
[なぜ今これだけの採用が必要か。事業計画との接続]

### 採用目標サマリ

| ポジション | 人数 | 入社時期 | 優先度 | 主力チャネル | 想定年収 |
|-----------|:----:|:-------:|:------:|:-----------:|:-------:|
| | | | | | |

### 全体スケジュール

| 月 | アクション |
|:--:|----------|
| 4月 | 要件定義完了、チャネル選定 |
| 5月 | 母集団形成開始(スカウト・媒体掲載) |
| 6月 | 選考開始 |
| 7月 | 内定出し開始 |
| 8月 | 退職交渉期間 |
| 9月 | オンボーディング準備 |
| 10月 | 入社 |

### KPI設定

| KPI | 目標値 | 計測頻度 |
|-----|:------:|:-------:|
| 応募数/月 | | 毎週 |
| 書類通過率 | | 隔週 |
| 面接通過率 | | 隔週 |
| 内定承諾率 | | 月次 |
| 選考リードタイム | | 月次 |

ポジション別計画

## ポジション別採用計画

### [ポジション名]

- 人数: __名
- 入社時期: ____年__月
- 優先度: 最優先 / 高 / 中

#### 背景
[このポジションが必要な理由]

#### 期待する成果(入社6ヶ月後)
[具体的なアウトプット]

#### Must/Want要件
| 層 | 要件 | 判断基準 |
|:---:|------|--------|
| Must | | |
| Want | | |
| NG | | |

#### チャネル戦略
| チャネル | 優先度 | 月間目標 |
|---------|:------:|:-------:|
| | | |

#### 選考フロー
| フェーズ | 担当 | 確認事項 | 目標日数 |
|---------|------|---------|:-------:|
| 書類選考 | | | 2日 |
| 一次面接 | | | 5日 |
| 二次面接 | | | 5日 |
| 最終面接 | | | 3日 |
| オファー | | | 2日 |

まとめ —— 「去年と同じ」から「事業から逆算」へ

採用計画は「何人採るか」を決めることではありません。「事業目標を達成するために、どんな人を、いつまでに、どう見つけ、どう見極めるか」の設計です。

やるべきこと 効果
事業計画から採用ニーズを逆算する 「なぜこの採用が必要か」が明確になる
ポジションごとにMust/Want/NGを構造化する 「どんな人か」が具体的になり、選考基準がブレない
チャネル戦略をポジション別に設計する 「良い人が来ない」を構造的に解決できる
選考プロセスに日数目安を設定する 候補者を逃さないスピード感が生まれる
KPIを設定しPDCAを回す 計画が「育つ」仕組みになる

まずは、次の四半期の採用計画を1ポジションだけ、このフレームワークで立ててみてください。 「去年と同じ」から「事業から逆算」に変えるだけで、採用の質は構造的に変わります。


Tasonal

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